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石臼全般
石臼で挽く意味と石臼の構造

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古来よりの石臼

石臼は本来材料を粉にするための単純な道具です
米、麦、そば、トウモロコシ、塩、茶葉など、大きさも堅さもさまざまな材料を粉に挽くために 昔からある石臼は、最大公約数的に大きな石で溝の深い形をしています。
同じ石臼でさまざまな材料を挽くためには、当然ですが挽き方を工夫しながら使っていました。
大きな材料、堅い材料は少しづつ材料を入れながらゆっくり挽きます。 小さな材料、柔らかい材料は少し多めに入れながら挽きます。
どちらも出てくる粉の状態を見ながら挽きますが、最後は挽けた粉を目の細かいふるいに掛けて選別します。
ただ石臼を回せば粉が挽ける訳ではなく、挽き方の調整は熟練が必要になります。

私が制作する石臼

昔の石臼は堅い材料を粉にするために直径が30センチもあり、重く作ってありました
現代生活の中でも石臼の技術が生き残るために「珈琲豆」を挽く石臼、碾茶を「抹茶」に挽く石臼を制作しています。
せれぞれを専用石臼としたために石臼のサイズは必要十分な小型を実現しています。
さらに、珈琲の粉は微粉末ではなく「中挽き」、抹茶は「極細挽き」と目的の粉の状態が違います。
このために石臼内部の目立ても、それぞれ特別な形となりました。

抹茶石臼

碾茶 碾茶

【碾茶】を極微粒子に挽いたものが【抹茶】になります
同じ被覆栽培の【玉露】がありますが、こちらは仕上げ工程で揉みこみの作業があり出来上がった茶葉は棒状に丸まっています。 ほかにも【碾茶】は茎を丁寧に取り除いてあり違いがありますが、挽き方の工夫で【玉露】も【抹茶】に挽く事が出来ます。
(詳しい方法は「玉露を抹茶に」のページをご覧ください)
【碾茶】は揉みこみの行程がないので、薄く茶葉が砕けたような平たい状態です
伝統的な茶席に用いられる【抹茶】は口にした時に粉である事を感じないほど微粒子で、泡立ちも豊です。
私の制作する【抹茶石臼】は、市販されている電動の大型石臼で24時間休みなく挽いた完璧な状態の抹茶を、手回しの小型石臼で再現しようとしています
そのために、一般に販売されている【抹茶】石臼と比較すると大きく重く設計しました。
上臼と下臼の隙間の空間は1.5mm、目立ての溝は深さ0.5mmと極限まで狭く浅く、石臼の内部に入る茶葉の量を極端に少なく制限して微粒子に挽きます
茶葉の状態が設定条件と一致した場合は上臼の穴に全量入れて挽き始めても完全な抹茶の状態まで挽く事が出来ますが
挽きが粗い場合は茶葉を一度に入れないで、少量づつ入れ数回上臼を回し、また少量入れて数回まわす作業の繰り返しで粉を微粒子に調整します
逆に挽けない場合は、茶葉を手のひらで揉んで小さく崩してから挽いてみます。
石臼は単純な構造で調整機能はありませんので、何種類もある茶葉の品種・仕上げの状態に対応出来ないので挽く人が工夫する必要があります。
この点のご理解が無いために、私の制作した抹茶石臼を購入されたあとで「きちんと挽けない」と返品されるお客様がありました
市販の【抹茶】の大型石臼でゆっくり時間を掛けて挽いた状態を、小型の石臼で数分で再現するのですから当然、挽く人の工夫を要求します
最初に何度か試験すると、挽き方と出てくる粉の状態の関係を理解する事が出来ますので、その後は自由自在に石臼を使いこなす事が出来るようになり
お茶会用の【抹茶】からカフェテラスで【抹茶アイテム】に使用する少し粗いですが緑鮮やかな抹茶まで同じ石臼で挽けます。
碾茶
<抹茶石臼の重要な要素がもう一つあります>
【碾茶】も【玉露】も非常に高価な茶葉ですので、出来るだけ石臼内部に残ってしまうロスを少なくしたい。
左の画像は挽きの途中で上臼を外した下臼の写真ですが、中心部分にはこれから挽かれる茶葉があります。
この中心部分の茶葉は回収して次回も使用出来ます。
それ以外の面には茶葉はほとんど残っていません。
貴重な茶葉をほとんど無駄にする事がないように設計してあります。

珈琲石臼

石臼で珈琲を挽くことには、独自の風味と香りを引き出す特別な意味があります。
石臼でゆっくりと珈琲豆を挽くことで、摩擦熱がほとんど発生しません。通常の電動ミルでは高速で刃が回転するため、どうしても摩擦熱が生じてしまい、 豆の香りや風味が若干失われることがあります。しかし、石臼では低温での粉砕が可能なため、豆本来の風味をしっかりと保つことができます。
石臼で挽くと、微粉(非常に細かい粉)が出にくくなります。均一に挽かれた粉は、抽出時のお湯の流れが安定し、雑味が出にくくなります。 そのため、クリアな味わいでまろやかな口当たりのコーヒーが楽しめます。
豆の入れ方の調整によって挽き目を細かくしたり粗くしたりすることが簡単にできます
石臼での手作業は、挽く工程に時間がかかりますが、手で豆を挽くこと自体がリラックス効果を生み出します。 昔ながらの方法で豆を挽くことで、手間をかけた分だけの愛着や満足感が得られ、コーヒーの味わいをさらに深めることができます。
石臼で挽いたコーヒーは、どっしりとしたコクとやわらかな香りが特徴とされます。特に焙煎度合いが浅い豆では、豆本来のフルーティーな香りや酸味が引き立ちやすく、 深煎りではスモーキーで濃厚な味わいがより一層楽しめます。
石臼で珈琲を挽くことは、ただ単に豆を砕く行為ではなく、時間と手間をかけることで豆本来の個性を引き出す特別な方法です。手動でゆっくりと挽くことで味と香りが引き立ち、毎日のコーヒーがより贅沢なひとときに変わります。

電動ミル

サンプルイメージ

電動ミルは豆を短時間で挽けるため、忙しい朝や時間がないときに便利です。特に家庭用のものは数秒で豆を挽くことができ、1回で多くの豆を挽ける機種もあります。
電動ミルの多くは、粗挽きから細挽きまで設定を変更できる機能が備わっており、エスプレッソからドリップコーヒーまで、淹れ方に応じた挽き方に簡単に調整できます。
電動ミルは、均一な挽き目を実現するため、豆が均一に挽かれやすく、安定した味のコーヒーが楽しめます
力をかけずに自動で豆が挽けるため、手軽で快適です。手動ミルが負担に感じる方や、毎朝の作業を簡単にしたい方には特に便利です

サンプルイメージ

電動ミルは回転速度が高いため、摩擦熱が発生しやすく、豆の香りや風味が多少損なわれることがあります。特に高回転のミルでは豆が過熱しやすく、繊細な風味が失われる可能性があります。
電動ミルの動作音は大きいため、家庭では早朝や深夜、カフェやレストランの静かな環境では音が目立ちます。
高品質な電動ミルは数万円以上するものもあります。
構造が複雑なため、使用後の清掃がやや手間です。豆の油分が残りやすいため、定期的な手入れをしないと品質が落ちる可能性があります。

石臼の構造

サンプルイメージ

石臼の構成部品は【上臼】【下臼】【ハンドル】【刷毛】【受け皿】の5点しかありませんので、清掃は水洗いと乾燥・故障は破損以外にはありえません。 非常に堅い花崗岩を使用しているために長期間(数十年)の使用でも摩耗はありません

石臼の主要部分は、上下に重なる「上臼」と「下臼」の二つの花崗岩です。これらは通常、硬く摩耗しにくい石材で長期間使用しても耐久性があります。
上臼は回転する部分で、ハンドルを使って回転させます。 上臼には材料を投入するための穴(投入口)が空いており、回転させることで投入された材料が石臼の内部に引き込まれていきます。 下臼は回転しません。上臼の動きに応じて、材料が上下の臼石の間で挟まれて挽かれます。
上臼と下臼の表面には、材料を外周部へと導く為の溝が彫られています。この溝を「臼目(うすめ)」と呼び、これが重要になります。
中心から放射状に伸びた溝が、新しく入って来た材料の圧力とともに材料を外側へと押し出す力を発生させます。 珈琲用の石臼は挽き過ぎを防ぐために溝は少し深く、間隔は広めに作ってあります。

サンプルイメージ 石臼には、上臼を回転させるためのハンドルが取り付けられています。 ハンドル挿して手で回す仕組みになっていますが、私の石臼はハンドルの受けの部分を上臼本体と同様に削り出しで成形し安定して回しやすいよう設計されています。
一般的な石臼の木製の台座では、すぐに緩みが出てしまい長期間(数十年単位)は使用出来ません。
サンプルイメージ
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